ほん☆もの

ちょっと気になる「本」や「もの」などを紹介するサイト

*

『Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応』

   

仕事の関係で、先日、LPICのレベル2を取得いたしました。
(先日と言っても、実は、3ヶ月ほど前のことなのですが・・・。)
ちなみに、LinuCのレベル2は一昨年秋に取得しています。

というわけで、ようやくLPICレベル2の関連本を
何冊か紹介できる立場になりました。
LPICレベル2 あずき本の表紙
最初はやはり、この一冊。
『Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応』
( 中島 能和 著、濱野 賢一朗 監修 翔泳社 )
いわゆる「あずき本」(小豆本)です。

あずき本レベル1の時には、
「(個人的には定番だと思う、)この一冊」と書きましたが、
レベル2では、事実上、唯一無二の存在になっています。

Linux教科書 LPICレベル2 Version 4.5対応 (EXAMPRESS) [ 中島 能和 ]

価格:4,400円
(2020/5/18 01:47時点)

電子書籍のもあります。
(後述の書き込み学習はできませんが、持ち歩きには楽ですね。)

Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応【電子書籍】[ 中島能和 ]

価格:4,400円
(2020/5/18 01:51時点)

以下、個人的見解ですが、こんな感じです。

【長所】
●LPICレベル2(Ver.4.5)の試験範囲を、試験対策の観点から
 ひととおり説明している、たぶん唯一の本です。
 ⇒他の本は、あくまでも「問題集」であるか、
  今は亡きVersion4.0に対応した版しか出版されていないか、です。
LinuC試験を運営しているLPI-JAPANが出している『Linux標準教科書』も、
「本教材は試験対策教材ではありません」と公言していますし。

●このシリーズは、試験が新Versionに変更されたときの対応が早いみたいです。
  あずき本レベル1を書いた当時、
LPICレベル2の試験がVersion4.0⇒4.5の移行による併存期間
 (2017.2.13~2017.8.12)だったのですが、
 他のレベル2向け書籍はまだ4.0対応までしか書店に出ていなかったのに、
 あずき本だけは4.5対応版が出ていました。

●試験に合格した後もLinuxの参考書として使える、かもしれない。
  あずき本レベル1では、
 「合格した後もLinuxの参考書として使える」と書きましたが、
 レベル2では「かもしれない」が付きます。
 但し、それは、この本の問題ではなく、
 LPICレベル2(特に202)の試験範囲は
 個別のアプリケーションの設定とかが多いため、
 Linux案件の業務であっても案件の内容によって
使うかもしれないし使わないかもしれない、
 という項目が多いということです。
 201試験の範囲でも、私が今までに携わったLinux案件では
 指定されたバージョンのRHELでサーバ構築、とかはありましたが
 この場合、カーネルとかブートローダとかをいじる余地は
 ほとんどありません。RAIDの設定とかは実施したけど。

【短所】
●この本だけでは問題数が不足。
 あずき本レベル1で書いたことと同様ですが、
  「教科書」であって「問題集」じゃない、ということです。

●新Version対応が早い、という長所の裏返しなのかもしれませんが、
  新Versionで追加された事項の説明が薄いような気がします。
  例えば、NFSサーバの説明は古いバージョン3の説明を中心に書いて、
  435頁と442頁で新しいバージョン4について軽く言及するスタイルです。
  白本(スピマス問題集)Ver.4.5 の解説にNFSv3とNFSv4で
  動作するデーモンの差異が書いてありますので、そういう所で
  補っていった方が良いかもです。

●この本に書いてない事項が出題されることもあります。特に202試験は。
  というか、書店で市販のLPICレベル2用受験本はひと通り所有している
  つもりなのですが、少なくとも202試験ではどの本にも載っていない出題が、
  正直言ってあります。
  201試験と202試験の範囲を合わせて1冊に収めようというのが
  もはや無茶なのかもしれません。

【短所の2番目・3番目を踏まえた、この本の使い方、但し個人的見解】
最初にこの小豆本を読んで、それから問題集(白、黒、・・・)を解いて、
問題集の解説にあって、あずき本に載ってないことを、
あずき本の余白に書いていって下さい。

あと、試験を受験したら当日中に(都会であれば帰りの電車の中で)
あずき本の本文の記述のどの事項が出題されていたかチェックして、
出題されていた項目の所に目印(できれば日付?)を記入していくことを
お勧めします。
合格した場合は良いのですが、不合格だった場合には特に。

実は私の場合は、LPIC201はそこまでする前に合格しましたが、
LPIC202では相当なスペックの自作PCを作れただろうくらいの額を
受験料だけで貢ぎましたので、上記のような方法を考え付いた次第です。

あと特に202試験は紛らわしいオプションとかを混同していると
失点するような問題も多いので、相互に参照できるように書き込むのもよいでしょう。
似て非なる単語(OpenVASとOpenVPNとか)も。

個人的には、LDAPで管理者パスワードを設定するslappasswdコマンドと
ユーザのパスワードを変更するldappasswdコマンドも、
実はレベル2受験生活の中盤あたりまでごっちゃになっていました。
両コマンドはあずき本Ver4.5で見開き両面(468~469頁)に書いてありますが、
469頁のldappasswdコマンドが載っている表に「パスワードを変更する」と
書いてあっても誰のパスワードを変更するのかが明記していなかったりしています。
「LDAPクライアントコマンドには、次のようなものがあります。」
と表の上に書いてありますので、LDAPクライアントからアクセスしている
ユーザが自分のパスワードを変更するコマンド、という趣旨になるのでしょうが。
そういった説明はさらっとしている側面のある本ですので、
実務経験の豊富な方はともかく、受験参考書で勉強して資格取得を、
というスタンスの方は心してかかってください。特に202は。

というわけで、私物の『Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応』では、
 337頁(SOAレコード)
 349頁(TSIGの設定)
 369~373頁(httpd.conf)
 379頁(Apacheの基本認証)
 384頁(名前ベースのバーチャルホスト)
 437~439頁(NFSサーバの設定)
 442頁(前述のNFSv4についての記述の下の余白)
 452~457頁(DHCP)
 458~461頁(PAM)
 462~469頁(LDAP)
 482頁(Postfixのmain.cf)
 485~489頁(メールのリレーからメールボックスまで)
 496頁(Dovecot)
 511頁(パケット転送を許可するための設定)
 518~519頁(匿名FTPサーバ)
 519~520頁(SSHの設定)
 528~529頁(SSHポート転送とSSHサーバのセキュリティ)
 533頁(nmap)
 540頁と543~544頁(OpenVPN)
などが、書き込みが多くなっています。いろんな意味で。
202試験の範囲ばかり書いてあるのは、
201試験ではそこまでする前に合格した(前述)のと
実は201試験はVer4.0で合格したという事情によるものです。
201試験Ver4.0も、最初の1冊はVer4.0用のあずき本でした。

なお、書名には「LPIC」とありますが、Level1の時と同様に
LinuCについても、Level2対応 LPI-Japan認定教材です、
が、LinuC Level2 は「Version 10.0」の提供が開始しています。
この本はLinuCでは旧バージョン「(Ver4.5対応)」の認定教材、
という位置づけになります。

LinuC Level2は、2020年4月1日~2021年3月31日の間、
Ver4.5とVer10.0の両方が配信されます。
試験範囲の差異を除けば、合格認定の効力などは同じですので、
勉強しやすい方(多くの人にとっては、受験参考書の多い方)で
受ければよいのでは、と個人的には思います。
私もLPIC201はVer4.0とVer4.5の併存期間に
前述のとおりVer4.0で合格しています。
(当時、本屋にはVer4.5の本が、このあずき本しか
ありませんでした。)

私が201を旧バージョンで合格したことと
201よりも202で多額の受験料を貢いだことから、
202中心に書評を致しましたが、
お役に立てれば幸いであります。

Linux教科書 LPICレベル2 Version 4.5対応 (EXAMPRESS) [ 中島 能和 ]

価格:4,400円
(2020/5/18 01:47時点)

Linux教科書 LPICレベル2 Version4.5対応【電子書籍】[ 中島能和 ]

価格:4,400円
(2020/5/18 01:51時点)

ちなみに、ISBN-13 コードは、
ISBN978-4-7981-5125-0 です。
書籍JANコードの下段(分類コードとか含む方)は、
1923055040007 です。

 - IT系資格対策の本, PC・Internet関連 ,